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子:あの現場に関して言えば、みんなが同じ方向を向いてたね。すべてのキャストが「正解はここだ」っていう同じ一点を目指してお芝居をしてたから、すごく気持ち良かった。
誰か一人違う方向を見ていたり、冷めてる奴がいたり、そういう人がいなくて。端役で来てる少年Aとか、村人AとかBとか、そういう人たちもみんな楽しそうに演じてて。現場にいることに誇りを持っているような人たちだったから、それが作品に影響してたんじゃないかな。

子:他の現場は、もちろんプロの人たちが集まってるけど、どこかバラバラな感じがするんですよ。それが、ジョジョの現場は後ろのスタッフまで一つ、 「いいものを作るぞ」ってその一点に集中してて。じゃあどうすればいいものを作れるのか、頑張っていこうぜみんな、っていうところでまとまってる感じがし たね。だからすーごく気持ち良かった。疲れるもん、だって。30分、みんなヘロヘロだよね。

上:そうですね。

子:後からゲストの人たちが どんどん来たけど、みんなぐったりして帰ったもんね。ぐったりしてるけど「気持ち良かった」って言って帰っていくゲストの人がいて、ああここはいい現場な んだなと思ったね。すごくつらくて、役者としては大変な現場なんだけど、とってもいい現場なんだろうなって。

上:原作自体にパワーがあるというか、こっちに投げかけてくるものが相当ありますよね。スタッフさんも役者も、それをとにかくやろうっていうのがあって、どうやってやろうかっていうところで一致してたかもしれないですね。

子: 役の捉え方が人それぞれ、違うじゃないですか。それを聞いた時、一個の漫画やキャラクターに、こんなにも正反対の解釈をすることができるんだ、と思った時 に、凄いなと思いましたね。熱血だったら誰もが熱血って捉え方をしているはずなのに、そうじゃない解釈をしてるっていう…人それぞれの捉え方があるんだ なっていうのを改めて感じました。だから、あまり「これが正しいんだ」「これはこうでいいんだ」っていう風に、決め付けるのをやめようって改めて思いまし た。
ディオに関しても、結果的に第一部のディオは熱い感じじゃないですか。僕は演る前、クールな人かと思ってて。わりと冷めた感じで、達観視して るニュアンスがあるのかなと思ってたら、初めのうちからそうではないお芝居を求められて。「えっ…こんなに?」こんなに怖い感情を出すんだ、と思って、初 めはすごい抵抗ありましたね。

上:そうなんですか。

子:抵抗あったー。だってうるさいしね、モノローグ。

上:ははは(笑)

子:あんなうるさいモノローグを俺に喋らせるなよーと思うもの。普通さあ、モノローグは間逆じゃない。心の声だから、ちょっと抑えて。普通に喋ってるようなでっかい声のモノローグなんて無いでしょ。普通だったらお芝居として成立しないもんね。

上:そうですね(笑)

子:でもいつのまにかね、あれをやらないと気持ち悪くなってくるような現場になっていってるのが…俺は恐ろしかった。

上:はっはっは(笑)

子:だってあんなの癖になったら、他の現場でもやりそうじゃん(笑)他でやったら、ぶっ叩かれるよ。

上:そうなんですよ、抜けないんですよね。

子:「なにやってんだ子安!」って言われるよ。だから、「これはこの現場だけの特別なお芝居なんだよ」って自分に言い聞かせながら演じている部分も多々あったよね。

上:「~じゃあない」の「あ」を、ちゃんと言うとかね。

子:俺ね…他の現場で「あ」を入れてやっちゃったんだよ。たまたまディレクターが岩波さんで「べつにいいんだけど、これは個人的なお願いとして……それは、ジョジョだから」って言われて(笑)

上:ははは(笑)

子:「ジョジョのディオになっちゃうから『あ』は入れないで」って俺もう、しまった!知らず知らずのうちに「あ」が入ってる!と思って。これはいかん、癖がついたなと。あれは久々に引きずったね。

上: 岩波さんとも言ってたんですけど、「あ」とか「ッ」とか、これをちゃんとやることが、実際に声に出してみると歌舞伎とか時代劇の様式的なところの、台詞を 言う側としては快感じゃないですけど、気持ちのいいテンポみたいなものが何かあるのかなって。それが染み付いちゃうっていうのがあるのかなって。

子:そういう考えもあるかもしれないね。僕はどちらかというと必死だったからなぁ。自分の中にディオが落っこちてきて、自分とシンクロしているような、支配されているような、支配しているような。そんな不思議な感覚を覚えながら現場で立って、やってたからね。




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