上:ある程度リアルに考えて踏まえなきゃいけないのか、忘れて見なかったことにしなきゃいけないのか、場面場面によっては迷いましたね。ありえないことなんですけど、本当の「なんでもあり」にしちゃうと、それはそれで。

大:お芝居の基本ってそうだと思うんだよね。作られたものを演じるわけだけど、それをやるためには真剣に、リアリティを持ってやらなきゃいけない。どんなに突拍子のないものであろうが。

上:関節が右回転であろうが。


大:そう信じて伝えなきゃいけない。

上:どこかで「あるかもしれない」って思っていただかないといけないわけで。

大:少なくとも、見ていただいている30分の間だけはそれを信じてもらわないといけない。終わった後に「嘘だよな」って思ってもらってもいいんだけど。見ている間は本当だと思ってみてもらわないと。

上:その後も「だるまさんが転んだ」があって…

大:あれもおかしいよね(笑)ワムウどんだけ気が付かねーんだって。

上:この作品、真面目にやればやるほどおかしいんですよね。

大:ワムウが「ん?」とか言ってるのが、おっかしくって。普通、気付くやろ!みたいな。散々見ておいて気付かなくて、それで見つけた途端にキレるっていう。

上:そのあたりの「見よ!この無様なヒーローの姿を」とか、あれもナレーションで一度落としておいて、実は囮だったっていうのでまた立て直して。「死んだふり~だからといってジョジョがこの物語のヒーローの資格を失いはしないッ!」

大:そのへんも荒木先生の独特の文体だよね。普通、こんな風に書かないもん。ナレーション。アニメじゃなくても、漫画でも小説でも、あんまりこういうト書きとかないもんね。

上:ここまで全部言葉にしちゃうんだ、っていう。でも、そういうのって実際に演っててちょっと気持ちいいんじゃないですか。

大:気持ちいいというか…こういうところはナレーションがなくても話は進むんだよね。台詞のやりとりだけで理解できるところなのよ。だから、無理にナレーションを突っ込まなくてもいいんだけど。あえて入れることで、作品の色になったり、これが「ジョジョの奇妙な冒険」なんだ、ということになるんだろうね。

上:この作品では、ゾンビに至るまでキャラクターが立っているというか、きちんと存在感を示しているっていうのがあるから。キャストが他の人の呼吸を見て芝居をする、日本の「よーいドン」のアフレコの良さが出てるなっていうのは、よくわかりました。

大:別録りの少ない作品だったね。よほどスケジュールが合わないとかでもない限り、モブもみんな一緒にスタジオに入って、入れられるところは入れちゃおうっていう風にやってた。

上:岩波さんの録り方っていうのが流れを止めないというか。「一回録ってから別録りでもう一回まわします」っていうのを、できるだけ少なくする。ちょっとここ分けたいと思ったら、そこまでいってちょっと止めておいて…すぐ次の。

大:かぶる人の台詞から、って。

上:空気感が残っているうちに別録りが始まるという。あれもすごく、ね。

大:岩波さんとは僕、色んな作品で一緒になってるけど、役者としてはやりやすい方でね。

上:こちらの空気を作っていきやすいというか。

大:そういうところを凄く大事にしてくださる方なので、すごくやりやすいなっていうのはありますね。だけど、第一回目の時は「僕に聞かないで」って言われたんだけどね(笑)

上:ははは(笑)音楽も相当の曲数、このシーンでしか使ってない曲、とかもありまして。第二部になってからも、またガラっと変わる贅沢な使い方で。

大:第二部になってから主題歌が変わると思わなくて。ジョジョの曲はあの曲しかないと思ってたのよ。でも「歌詞を聴いたら第一部の内容だから変わるんじゃないですか?」って、上田くんだったかな、ずっと言ってたんだよね。

上:僕、第一部の曲の二番が発表されるまでは、二番が第二部の内容になっててそのままいくのかなと思ってたんですよ。そしたら、二番も完全に第一部の内容だったから。

大:変わるの?と思ってドキドキしてたんだけど、蓋開けたらまた、第二部もすごい良かったよね。びっくりしちゃった。

上:ここは外しちゃいけないっていう作品のキーワードは守っていながら、まったく違うテイストの曲でね。

大:作品ごとのカラーでね。第一部はとにかく熱血で、第二部はOP映像みたいにカラフルで。ああいうところ、すごいなぁと思って。

上:演出で色がガラッと変わるシーンとか、それもまた作品のテンポを作ってて。ツェペリさんの亡くなったところのナレーションとか、シーザーのシーンとか、たまんなかったです。しっとりした、こう…本当に見ている人の気持ちに寄り添ってくれる感じがしました。

大:そう言っていただけると嬉しいです。ただ沈み込むだけじゃなくて、悲しいことなんだけど、ここからまた主人公に何かが託されていくんだよ、みたいな、余韻を残さなきゃいけないところだからね。

上:受け継ぐっていうところが一つ、大きなテーマではありますよね。

大:第一部のツェペリさんが亡くなったときも、波紋のパワーをジョナサンに伝えて、ジョナサンが亡くなったあとも物語は続くってなって第二部にいくわけだし…シーザーも然りね。

上:想いと想いがぶつかりあって何かが生まれて、それを皆が感じ取って、またその先の…特にスピードワゴンなんかは、大きく人生が変わっていくじゃないですか。そのあたりの魅力ってすごいなと思うんです。

大:そういう物語だもんね。だから今まで連綿と続いているわけで。どんどん後に託していく。主人公それぞれに想いがあったとしてもね。荒木さんが生きている間は、ずーっと続くんじゃないのかな。



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